遅いエントリですが、20日にジャズシンガーのシャーリー=ホーンが亡くなりました。(CNNジャパンの訃報記事、CNN USAの記事)
日本ではアメリカほど有名でないかもしれませんが(日米の訃報記事を読み比べると日本では「ベテラン」、アメリカでは"Jazz Legend"と扱いがだいぶ違います)、マイルス=デイビスに見いだされたという経歴の持ち主です。ピアノの弾き語りをする女性ジャズシンガー、というと今日ではダイアナ=クラールが有名ですが、その大先輩だと思っていただければ良いでしょう。
長年糖尿病で苦しみ、ついには片足を切断したのでピアノを弾けなくなってしまった時期があったのですが、その時期にオークランドのYoshi's (たぶん西海岸No.1のジャズクラブ)にライブを聴きに行きました。2003年のことでした。執事のような男性に押され車椅子でステージに登場し、語りはほとんど入れず微笑みながら淡々と歌っただけのパフォーマンスだったのですが、年代物の銀食器のような艶もありながらどこか鈍色にくすんだような声がとても美しかったです。歌い方も独特で、ひとフレーズ毎にゆったりと間を取ってどんなにアップテンポの曲でもバラードを思わせる歌いかたになっていました。
押し付けがましくない美しさ、というのが一番良いでしょうか。
昨年からは義足を付けてまたピアノを弾き出したとのことで嬉しく思っていたのですが、また聴く事なく逝かれてしまいました。
オークランドまで出向くのが面倒でここ2年ほどYoshi'sには行っていないのですが、「見れるうち、聴けるうち」というのは大事だな、と思ったので「あこの人」というのがあった時には積極的に行きたいと思います。
はじめまして。
彼女が生きているうちに、ライブ聴きたかったなぁ(羨
Posted by: てけてけ | October 31, 2005 at 01:45 AM
はじめまして
「mirukoの時間」ココログのakeminです。
シャーリー・ホーンの訃報しりませんでした。
朗々と歌い上げる彼女のボーカルはとても沁みるものがありました。
そういえば、
独特のスキャット・ボーカルで活躍したエラ・フィッツジェラルドも、
93年に糖尿病の合併症で両足を切断し、長く療養していたそうですが・・・。
華やかな 舞台で活躍された
シャーリー・ホーンやエラ・フィッツジェラルド
まだまだ 多くのミュージシャン達の実人生の影と光を知ると
ひとしお残された音源から聴こえる声 音 に深みが増しますね。
Posted by: | November 03, 2005 at 06:34 PM
こんなにホーン女史のファンがいるとは。嬉しい驚きです。「沁みるものがある」、というのは良い表現ですね。彼女の、あの絶える事のない微笑みが忘れられません。実はライブに行ったその時点では何も知らなかったので「脚が不自由なのかな」と思ったのですがあとで切断という話を知って驚きました。そんな状態であの歌そして微笑み…。
ジャズというのは「人間。人生」がものすごく正直に現れる音楽だと思うのですが、彼女の場合はそれすらもベールで覆いつつも覆っているが故にその陰に隠された想いの深さを聴く者に汲み取らせていた(回りくどい表現ですが)のでしょう。
Posted by: Naotake | November 03, 2005 at 09:42 PM