先週末はスタンフォード大学の卒業式であった。
その年に卒業する大学生・大学院生全員をまず一旦フットボールスタジアムに集めて行ない、大学全体のセレモニーをやってから各学部・院に分かれてそれぞれ卒業式を行なうのであるが、毎年、かなりの高確率で炎天になるので、黒いガウンを着ている学生にはたまったものではない。しかもビジネススクールの場合は学部ごとの式も屋外の円形劇場で行なうので、ずっと暑い中耐えることになる。
そんな状態なのでガウンの下に着る物もカジュアルどころではなく、Tシャツ・短パンとしている卒業生が結構いた。私はチノパンにボタンダウンの襟付きシャツ、と中途半端に「普通の」格好だったので最後の方では汗みどろになってしまった。同級生の女性のように倒れてしまい、卒業証書を受け取るときに男性2人に支えてもらっていた人もいたので、そのぐらいで済んで良かったのだろう。
さて、アメリカの大学(どうかすると高校も)の卒業式といえば、有名な人・偉い人を招聘してのスピーチがつきものである。大学にもよるのかもしれないが、スタンフォードの場合、スピーカーは必ずしもその学校の卒業生でないのが面白い。私の卒業時は当時副学長だった今の国務長官だったので、「学校関係者」だったが、今年の卒業式は「学校外」どころか、大学中退のスティーブ=ジョブスが登場した。(Wiredより。大学の公式リリースはこちら、ビデオもあり。)
ジョブスも、ガウンのしたはジーンズにサンダル履きだったそうだ。さすが。まるでロックスターのような歓迎を受けたそうである。聴衆も聴衆で、iPodのコスプレ(どんなんだ)をしていた学生が結構いたそうである。「雇ってくれー!」という叫びも聞こえたとか。スピーチの前には、環境保護団体が借りた飛行機が「アップルよ、廃品リサイクルを推進せよ」という趣旨のメッセージを書いた旗をつけてスタジアムの上を飛んだ、との一幕もあったそうだが、ちょっとしたお祭り騒ぎだったようだ。
ビデオはまだ観ていないのだが、記事から判断すると大変「らしい」ものであったようだ。記事にあった主だった発言を拾ってみると:
"Your time is limited so don't let it be wasted living someone else's life"
「限りある人生、他人の人生を生きて無駄にするな」
"Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice."
「自分の心の声を、他人の意見に打ち消されるな」
"If I had never dropped out I might never have dropped in on that calligraphy"
「大学を中退していなかったら、書道の勉強もしなかったはずだ」
(書道により培われた文字へのこだわりが、アップル製品における質の高いフォント実現、ひいては細部にこだわるモノ作りの精神につながった、とのこと)
"Of course, it was impossible to connect the dots looking forward," Jobs said. "You can only connect them looking backward, so you have to trust that the dots will somehow connect in your future."
「自分のたどってきた途は、今振り返ってみれば現在の自分につながっているが、若いときには自分が将来どんな者になるかなど当然見えなかった。自分が今していること、これからしようとしていることが何がしかの形で将来につながるものだと信じるしかない」
"Remembering you are going to die is the best way to avoid the fear that you have something to lose"
「自分がいつかは死ぬことを忘れるな。それは(地位や財産、名誉などを)失うのではないか、という恐怖に打ち勝つ最良の手段なのだから」
こうしてテキストで書かれたものを読めば「ありがち、ありきたりだな」と思うかもしれないが、ジョブスの口から直接聴いたら、ありきたりと分かっていてもゾクゾクするだろうな。
時間あるときにビデオ、見てみよう。
お誕生日おめでとう!!!
Posted by: 私は誰でしょう | June 18, 2005 at 04:40 AM
ありがとうございます!(え、でも誰?)
Posted by: Naotake | June 18, 2005 at 08:52 AM
遅ればせながら私からもおめでとうございます。
Posted by: 進メワム! | June 20, 2005 at 06:43 PM