自分はアニメ映画をほとんど見ない(最後に劇場で見たのは1998年の"Antz"だったかな)。
何か偏見があるわけでもないが、人間の役者と本物の風景(最近はこれらも怪しくなって来ているが…)の出てくる映画が好きなので、アニメ映画は「何もわざわざ…」という気分になってしまう。そんなわけで、「トイ・ストーリー」に始まり、「モンスターズ・インク」そして最近では「ファインディング・ニモ」と不敗神話を誇るPixarの映画をこれまで一本たりとも見た事が無かった。「アイス・エイジ」も最近ジャック=ブラック(ファンなので)が声の出演をしている、という程度の理由でDVDで見るまでPixar作品だと思っていたのだからお粗末な話である。
そんな私であるが、Pixarの新作の"The Incredibles"(邦題「Mr.インクレディブル」)は、通勤と上の高速道路脇(Excite@Homeの本社跡からほど遠くないところにある…というのは地元ネタがすぎるか)の巨大看板にあった宣伝を見、気になってIMDBなどで新作情報を漁って以来、何となく気になっていた。なぜかは良くわからないが、スーパーマン、バットマンなどのアメリカンコミックのヒーローが好きな自分としては「引退して市井に隠れ住むスーパーヒーロー」という設定がツボにはまった、といったところか。
しかもこの映画の上映前には「エピソードIII」の予告編が見られる、ということだったので本当は公開直後に見に行きたかったのだが、つい機会を逸してしまい、ようやく先週金曜日に見に行くことが出来た。
まずは「エピソードIII」の予告編。これはもうネットで見てしまっていたのだが、「こんなことなら劇場で見るまでガマンすれば良かった」と思った。以前のエントリでも書いたが、予告編作りの上手いルーカスだが、今回は現時点のように公開までまだだいぶ間のある時に見せる「雰囲気だけ伝える」的な予告編とはうってかわってネタバレ的なカットを多用している。ちょっと邪推かもしれないが、ファンの間で「どう収拾してオリジナル三部作の世界につなげるか」について様々な予想がなされていることを受けて、今のところ出ている説のどれにもなんとなくあてはまってしまうようなカットをより抜いて、論争を煽り、公開時までに期待と需要をとことん上げておこう、という作戦なのではないか、という気がした。(やっぱ邪推かな。)
さて、予告編が終わったが、正直、「エピソードIII」以外に何があったかはあまり良く覚えていない。これを除いては。(あ、またPixarだよ。)さすがに「エピソードIII」のだけ見て帰る客はいなかった。見てみたいような気もしたが。
そして本編。
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以下、いつもの通りネタバレは避けますが、先入観無しに見たい方は避けて下さい。
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いやー面白かった。そんなに凝ったストーリーでも無い(引退したヒーローの復活、というのは映画や小説の世界では良くある)し、ものすごい設定やアクションがあるわけでもないが(アニメならもっと凄くできると思うのに、本作品ではElastigirl関連のものを除けば普通の「人間+CG」でもできるかな、と思うものが多い)、良い意味で「うまくまとまった」お話である。
扱いきれないような高尚なテーマを取り上げるわけでもなく、ヒューマニズムを謳い上げるわけでもなく、アクションだらけのスピード感で突っ走るわけでもなく、かといってお笑いだけに走るわけでも無い、と何も突出したところは無いのだが、何だか見ていて素直に面白がり、笑い、興奮し、受け止めることのできる作品である。
アニメの技術が云々、というのをあまり論評する気はないが、最近見ていなかった身としては「明らかにアニメ」と「実写の中のCG」の間にうまく落ちるのかな、という気がした。質感や動きの表現はすごいが、無理してリアルにすることなく、適度にアニメチックさを残している。
なんだかこう書いていると「中庸の効」を説いているようだが、変なところで気張ったものをつくるより、こうしてバランス良くまとめる事の方が難しいのである。これは「ギーク」だけで作った映画では無く、「上手なストーリーテラー」がそれらギークを活用して作ったものなのだろう。(これまた見てはいないのだが、私の友人間では評判の高い「アイアン・ジャイアント」の脚本・監督と同じ)
なお、個人的に一番好きなキャラクターはElastigirlである…というのはおいといて、この映画、おすすめです。
さて、ここでこの映画の邦題「Mr.インクレディブル」について若干不満を表明したい。
原題の"The Incredibles"は「すばらしい人たち(=超人)」という意味もあるが、実際のところは、「インクレディブルさん一家(サザエさん一家、みたいなもん)」というニュアンスである。家長はなるほどMr.インクレディブルかもしれないが、彼が主役ではなく、それこそ「サザエさん」のように一家全員揃ってヒーローなのである。一家団結し、各人のスーパーパワーを補い合って活躍する、というのがストーリーの重要な要素なのに、それが薄まってしまうではないか…。
特に、日本の公式サイトでElastigirlが「インクレディブル夫人(しかも英語名もElastigirlでなくMrs. Incredibleになっている!)」になっているのは、彼女(さしずめ、「伸縮娘」か?)自身単独で大向こうをしょって立てるスーパーヒロインであり、Mr.インクレディブルとは対等の関係であるという設定の妙(双方がスーパーヒーローである、という点を除けばありがちなアメリカの夫婦の会話をしている)が失われてしまうではないか…!
再考を促したい、とは言わないが、見に行かれる方はこのへんのニュアンスを汲み取ってくれれば、と思う。
しかし、日本語版の声優は三浦友和に黒木瞳か…。ううむ。想像がつかぬ。
ブラッド・バード監督と言えば、そう「アイアン・ジャイアント」。是非観てみてくだされ。男泣きです。ブリキでできた松本人志みたいなロボットが出てきます。
”君はなりたいものになれる”
そんなことを教えてくれます。・゚・(ノД`)・゚・。
Posted by: しぇげな | November 23, 2004 at 02:14 AM
How wonderful it is! Today, I had seen the film - "The Incredibles" this afternoon, my father also had seen this film in this evening. This cartoon movie is powered by Disney-Pixar.
In this film, I love the people's sensation, scene, bugbears. The scene is so sublime.
With the great imagination.
Posted by: Creford | March 16, 2005 at 06:34 PM