本日、「公開初日は行かない」という方針を曲げ、「キル・ビル」を見て来た。ついさっき家に戻って来たばかりであるが、未だに少し呆然としている。「感動」したわけでも、「興奮」したわけでもなく、何だか出合い頭にトラックと正面衝突したような気分である。
この映画は初めて予告編を見てから非常に気になっていた作品だった。語感だけでつけたようなタイトルに加え、どう考えても確信犯で悪ノリしている様子がありありと伝わりつつも鮮烈な映像が続き、「こりゃあ凄そうだ」と思っていた。私はタランティーノのファンでは無いが、「映画オタク」の延長でそのまま映画監督になり、それ以来好き放題作品を撮り続けている姿勢が非常に羨ましくもあり、また「次は何をやらかすのだろう」という期待を持たせてくれるもするので、スタンリー=キューブリックが死去して以来、私の中では唯一「監督で見る」ポジションに位置している。それもあって、混雑覚悟で、あえて映画評なども読まずに見に行ってしまった。
行ったのはいつものシネコンプレックス。上映30分前には行列が出来ており、場内は満席。まず本編上映前に「マトリックス・リローデッド」と「ロード・オブ・ザ・リングス第3部:王の帰還」の予告編が流され、そこかしこで拍手が起きていたところで、いよいよ「キル・ビル」の開始。そこから1時間50分、眼を見開いたまま席で固まってしまった。
そこには、ふだんあるジャンルの映画ばかり観ている人が夢に見るような世界が展開していた。笑える場面では皆結構笑っていたが、ひきつった笑いのように聞こえた。そして最後のカット、第2部(この映画、あまりにも長過ぎたので2部に分けて公開されている)での展開がどうなるんだ、と思わせるようなセリフで終わと、まばらな拍手が起きもしたが、観客もハイになっていたようで、いつもの映画に比べると皆妙に声高になっていた。これ以上書くと支離滅裂な文章になりそうだし、ネタバレは避けたいのでこのへんでやめておくが、とにかくそういう映画である。先週見た「Lost in Translation」とは日本が絡む、という点で奇しくも共通項はあるのだが、全くの別世界であった。いや、そもそも比べる事自体に無理がある。
これから見ようという人に申し上げたいと思う事:
*映像作り、音楽のセンスは好き嫌いのわかれるところだろうが、私のように昔8ミリ映画を撮っていたような人種にはこたえられないと思う。お金もらってこんなの作れたらなあ…と思ってしまった。
*同じ監督の「パルプフィクション」同様、わざと時系列を崩した展開になってはいるが、その崩し方にロジカルな意味等を求めないこと。(監督も深く考えていないと思う)
*「勘違いジャパン」にアレルギーのある人は見ない方が良い(…というものの、見れば逆に抗体ができるかも)。
*暴力描写の苦手な人、「プライベート・ライアン」の最初15分の眼をつぶっていたような人は覚悟して見る事。よくもR指定に留まったものである。
*昔「宇宙刑事ギャバン」という特撮TV番組の主役だった大葉健二というマイナー俳優が出て来るのが非常に懐かしい
*千葉真一(aka「ソニー千葉」)の役名は「ハットリハンゾウ」だが、彼は昔「影の軍団」というアクション時代劇で「服部半蔵」という役名で忍者を演じていた、などというどうでも良い事を知っているとニヤリとさせられる。
*ウマ=サーマン、ルーシー=リューが無理矢理日本語で話すのがこそばゆく感じられる。
*「勧進帳」という言葉がさり気なくでてくるのに気付いた人は目が鋭い。
とにかく、観るのに「覚悟」のいる映画だと思うので、体調を整え、眼の疲れているときには見ないようにする、といった配慮の上見に行くことを勧めたい。
見た方はコメントを頂ければ幸いである。
今日、二度目の鑑賞をしてきました。
舞台を東京に移したあたりから俄然盛り上がって、何度観ても興奮しますね。東京の夜を疾走するシーンから青葉屋へオーレンイシイ一派が入っていくときの素晴らしさ。震えました。
ただ、二度目ともなると、やはりバイオレンスシーンはちょいと気になりましたね。やりすぎたかもね。
ちなみに二度目を観にいった理由の一つに、”Kill Bill''"の予告編が観られるというのがあったのですが、半分以上がvol.1からの映像でちょっとがっくし。でも、夕焼けの中、カンフーを特訓しているシルエットのシーンとかあったりして、「お前ら、ベストキッドか!?」と心の中でつっこんでしまいました。次はカンフーがメインのようで。期待度大。
しかし、今回有楽町マリオンの”丸の内ピカデリー2”で観たのですが、音響システムが最悪でした。音がでかすぎ、高音がキンキンを耳に響くし、低音はウーハーのレベルを上げすぎで何でもないシーンでも振動しまくり。予告編上映後、JBLシステムを導入していますとのアナウンスがあったのですが、使い方が間違ってる!映画館にも色々とあって、ホームシアターよりひどい映画館も確実に存在しているのですね。金返せだよ、全くもう…。
それはそうと、”やっぢまいな!”の着声をゲットしてニヤけている今日この頃なのでした。
Posted by: しぇげな | December 02, 2003 at 06:27 AM