"Beyond Bullets"というblogを最近見つけた。パワーポイントを使った有効なプレゼンテーションの仕方について、Cliff Atkinsonという人(けっこうな大企業を顧客とし、コミュニケーション方法に関するコンサルティングをしているようだ)が毎回何がしかアドバイスを授ける、という形式である。
パワーポイントと言えば、以前Edward Tufteの"The Cognitive Style of PowerPoint"という、パワーポイント、特にあらかじめ用意されたテンプレートによる「紋切り型の」プレゼンテーションやブレットポイントの濫用について痛烈な批判を展開したエッセイを取り上げた。Tufteの主張、非情に納得いくものではあったが、それはパワーポイントそのもののせいというよりは、テンプレートやブレットポイントといった「プレゼンのお約束」をその適・不適を吟味せずに使う安易なプレゼンテーションに対する批判(Tufteはそれを、「パワーポイントがそういうプレゼンテーションを誘発する」とあくまでもソフトウェアを批判しているが)だと思う。
Tufteの主張が情報表示の専門家による「素人」への啓蒙(少しスノッブ)だとすれば、こちらは、「パワーポイントをメッセージに合わせて、どう使うか」という観点からの「コーチング」を行っている、と言って良い。(かといって、まったく相反するものでもなく、かぶる主張もある)毎回のエントリの最後に、"tip"として使えるアドバイスを授けてくれているのも、読み勝手・学び勝手が良い。
まだ始まってから1ヶ月ほどのblogなので、ついつい過去にさかのぼって全てのエントリを読んでしまった。毎回毎回が全て面白いわけでもないが、印象に残ったのは以下の2つのエントリ。
Tip: A quick fix here is to move your logo off your screen and onto your handouts. If your logo is sitting on your Slide master, move it to your Notes master.(中略) Whether you do this or not, it's always a good idea to step back and think more deeply about your brand. How would you express your brand over the radio? Over television? Deepen your thinking about brand as far as you can go, then come back up and take a fresh look at how you - and your audience - see PowerPoint.
プレゼンテーションの全ページにロゴを入れることによって、「自社ブランドをアピールしている」と考えることの落とし穴(そこには、「無駄な空間の使い方」という側面もあるが、それはこちらのエントリで詳細に論じられている)を挙げ、プレゼンテーションのメッセージそのものにブランドを語らしめよ、という主張をしている。社外向けプレゼンテーションにはこのテンプレートを使え、社内向けにはこのテンプレートを使え、などという決まりがあって、どのテンプレートにもでかでかと自社のロゴがくっついている、というのはありがちではあるが、プレゼンテーションが終わったあとに「読み物化」したパワーポイントの束の出所をあきらかにする以上に、全ページにロゴを載せる意味はないのかもしれないな、と(自戒もこめて)思わせるエントリである。
とかく「レポート」化してしまうパワーポイントであるが、「読ませる」ためのものであればTufteではないがレポート形式にして配れば良いのである。プレゼンテーションの目的は「メッセージを伝え」「それに基づいて議論をする」画面に映し出すプレゼンテーションはあくまでもプレゼンターがメッセージを伝えるための「ガイド」そしてメッセージを効果的に伝えるための「ビジュアルエイド(視覚的補助)」にすぎず、そのメッセージそのものにプレゼンターの所属する会社の「ブランド」(会社の提供する価値と一体かしてものであればなおのこと)が出ている方が、ロゴという「気を散らせる」ものを出しておくより、はるかに読み手の印象に残るのかもしれない。
Tip: Introduce yourself at your next presentation with a visual biography. Open up a blank PowerPoint slide, then search Google Images for 5 images that represent key events, themes, or phases of your life. Compose them left to right as in the example above, or try a different layout. Animate each visual element to Fade in as you talk about that part of your life. If it works, try composing a visual biography to introduce your organization. Before you know it, your whole life might just be illuminated with visual thinking.
これは「文章に頼らず、絵や写真(イメージ)を活用して要領よく、しかも印象に残る形でメッセージを伝える」ことの訓練として、プレゼンテーションの最初に、自己紹介を5つのイメージだけを使って行ってみよ、というアドバイスである。この方式のメリットは、イメージは固定されていても、聴衆に合わせて「それぞれのイメージにつき、どんな話をするか」を柔軟に変えられる、ということである。
実際に冒頭に自己紹介をするようなプレゼンをする機会があるかどうかはともかく、この作業、自分のpositioning statementを書く際の準備として活用しても良いかもしれない。「自分がこれまで何をしてきたか」「今何をしているか」「これから何をしたいか」のそれぞれを端的に現すイメージを少数選び、時系列に配列し、それぞれにつき「どういう意味合いか」を書き出してみる。さしずめ、「自分とは何か」というプレゼンテーションを作成するためのストーリーボードである。(ストーリーボード作成のツールとしてのパワーポイントの可能性については、こちらのエントリで取り上げている)
これは今度時間のある時に試してみようかな、と思った次第である。(もっとも、自分の場合、5つの絵で順番に説明するというよりはコラージュみたいになってしまいそうだが…)自己紹介付きのプレゼンをする機会、いつかあるかもしれないし。
この他にも、こちらではブレットポイントの有効性を試すテクニックを紹介するなど、盛りだくさんである。
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