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November 15, 2003

The Cognitive Style of Powerpoint

Edward Tufteという、エール大学の名誉教授がいる。(名字は「タフティ」という読みが近い)専門は統計の図表化と分析表示デザインだが、実際には以下の3冊の著者のあるグラフィックデザインの泰斗である。

The Visual Display of Quantitative Information
Envisioning Information
Visual Explanations: Images and Quantities, Evidence and Narrative

上のリンクはAmazon.comのものだが、同氏のウェブサイトでも購入可能である。

特に、スペースシャトル「チャレンジャー」号の爆発事件を事件後に公開された資料から、「図表の分析結果の見せ方次第で、あの事故は避けられた」という主張が有名である。

一昨日のポストの最後に記した「読み物」というのは実はTufteの書いた、「The Cognitive Style of PowerPoint」という小冊子である。これまた、アマゾンでも氏のサイトからも購入可能である。

なんでこのようなものを読んでいたかというと、Tufte教授は著述業の他にも情報のビジュアル化に関する1日セミナーを毎年米国のあちことで行っており、私のところに12月にパロアルトで行われるセミナーの案内が送られてきたのがきっかけである。このセミナーについては、以前Wiredでも取り上げられているのだが、非常に評価が高く、私も以前から一度参加してみたいと思っていた。平日開催なので今年も参加は多分無理だろうな、と思いつつ案内状を眺めていたら、この小冊子の案内を見つけ、7ドルという価格もあって、つい好奇心に駆られてTufte氏のサイトで注文してしまった。(我ながら、こと趣味的な領域だとかなり衝動的な行動を取るものである)

内容としては、パワーポイントというメディアが、あまりにもプレゼンター本位であり、情報を的確に伝えるにはあまりにも貧弱なものである、という「百害あって一利なし」的な主張である。巻末にある「使い手の問題であって道具のせいではないのでは?」という疑問に対しても「パワーポイントには本質的な欠陥がある」と切り返している。Tufteがその主な理由としてあげているのが、パワーポイントの標準プレゼンテーションテンプレートの「resolutionの低さ」である。

ここでいう「resolution」というのはいわゆる「解像度」ではなく、「情報伝達密度」という意味で使われているが、要はパワーポイントで多用されるスタイル、特に「ブレットポイント」形式は表示できる情報が限定されているがゆえに、正しい情報を伝達するのでなく、表示できる字数に併せた記述をする、という謝った方向に書き手を誘導してしまう、ということである。Tufte曰く、

Many true statements are too long to fit on a PP slide, but this does not mean we should abbreviate the truth to make the words fit.

私もコンサルタント生活が長かったので、これまで無数のパワーポイントスライドを作ってもきたし、また見てもきた。確かにパワーポイントの既存のテンプレートを使ったプレゼンテーションで質の高いものを見たことはない。特にブレットポイント形式の場合、主語も述語もはっきりとしない、また見ただけで論理のたどれない「文章モドキ」が濫用される傾向がある。また、そのスライドで伝えられようとする情報の伝達には何の役にも立っていないバックグラウンドのデザインやら「ためにする」クリップアートやアニメーション。(クリップアートに関して言えば、いつも楽しましてくれる「小鳥」のBlogで非常に笑える例を紹介している)

まあ、私も偉そうなことはいえたクチではない。駆け出しのころはそれこそ笑えるスライドも作っていたし、今だって私の作るスライドが果たして明快なものかどうか、怖いものである。(ただ、パワーポイントの標準テンプレートを使うことはまずない!)これ以上書くと「天唾」になるのでこの辺で控えておくが、反省と自戒を誘う小冊子であった。

小冊子の中で「ブレットポイント」の例としてあげらているスペースシャトル「コロンビア」号の空中分解事件に関するボーイング社の作成したスライドの解説などはサイトでも読めるので、興味があればどうぞ。また、このサイトには新聞や雑誌などに掲載された図表などに関する論評も乗っているが、これまた非常に面白い。

そんなわけで、Tufteのセミナーには参加できそうにない私だが、この小冊子に触発され、本だけでも読もう、と思った次第である。たまたま当社のVP of Engineeringが上の3冊をオフィスに置いていたので、「Envisioning Information」を借用し、天気の悪い今日(土曜日)だらだらと読んでいる。感想はいずれまた。

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Comments

大学の助教授(情報工学系)をやっている知人の話では、学会発表ではOHPがまだまだ主流だそうです。主な理由は、PowerPointファイルを用意しても会場のPCにうまく読み込めないケースや、自分のPCを持って行っても会場のプロジェクターにうまく接続できないケースがある、といったテクニカルなもののようです(実際私も、講演を頼んだ教授がPCカードでPowerPointファイルの差し替えを持ってきたが、会場に用意したのがノートPCでなかったので対応できなかったという経験がある)。ただOHPだと説明しながら書き込みができるので便利、という理由については、なるほど、と思いました(いかにも学者ならでは、の理由ですが)。

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