June 24, 2009

Acqua Pazza (Fish Poached in Broth)

Aqua Pazza
しばらく料理を取り上げていませんでしたが、先日Whole Foods Marketで良い魚(Rockfishの一種)を購入してアクアパッツアを作りました。この料理、白身の魚であれば何でも良い、とされていますがこちらで丸ごとの姿で入手しやすいハリバットやストライプドバスだと今いちの仕上がりになる傾向があるので(この2種の魚はローストの方が向いていると思います)、こうしたカサゴめいた魚、それもある程度の大きさのあるもので作る方が個人的には好みです。

今回はスープに奥行きを出すためハマグリ(Manila Clamという名称で売られている小粒のもの)を加えました。

  1. 魚は内蔵と邪魔なヒレを取り除き、良く洗っておく(火の通り+味の滲みを良くするため切れ目を入れました→写真
  2. 魚が丸ごと入る大きさの耐熱皿に、水、オリーブ油、白ワイン、サンドライトマト(無ければプチトマトでも良し)、刻んだ黒オリーブ、赤唐辛子フレークごく少々、を加え、熱いオーブンに入れる→このスープを「アクアパッツア(気違い水)」と呼びます
  3. 一煮立ちしたら、ハマグリを投入し、塩とコショウを少し振る
  4. ハマグリが開いたら魚、そしてイタリアンパセリの茎等、ありもののハーブをブーケガルニ様にしたものを加え、さらに塩コショウする(写真)→この時点で既に良い感じになったスープで、魚を蒸し上げる次第です
  5. オーブンに戻し、魚の身がほろりとするぐらいまで蒸し焼きにする
  6. 蒸し上がった上に刻んだイタリアンパセリを散らし、食べる

この料理、食べる際には魚の白身のみを味わうのも良し、スープを良くまぶして身を食べるのもまた良し、ハマグリやオリーブ、トマトと魚を同時に口中に含んで複合の味を楽しむのもさらに良し、スープのみすするのもなお良し、と様々な食べ方のバリエーションが楽しめます。

食べ終わった後、残ったスープ(骨から掻きおとした魚の細片やオリーブ、トマトの残り)にはパスタ(スパゲッティが良い)を投入してさっと混ぜ合わせ、パセリを散らしてトマト味のシーフードパスタとして頂くのが嬉しいものです。

June 14, 2009

Departures (Okuribito)

おくりびと(英題:Departures)」がサンノゼで劇場公開されていたので観てきました。

アカデミー外国映画賞を受賞はした、というものの不思議な者で受賞前はどこでも上映しておらず(アカデミー賞の対象になるには少なくともロサンゼルス郡内で劇場公開されていないといけないので、かの地ではやっていたのでしょうけど)、かといって受賞後も大々的にやっていた、というわけでもなかったのでDVDを待つかな、という状態ではありましたが幸い地元で公開しているという話を聞きつけ、鑑賞に至りました。

必要以上に情緒的・感傷的にもせず、やたらとドラマチックなストーリー展開にもならず、コメディ要素も全編散りばめられているものドタバタ喜劇になるほどでもなく、抑制を効かせた淡々とした演出で「死」を「不可避なもの」そして「死者・生者双方にとっての一区切りないし経過点」として描いた作品だったと思います。「感動させよう」「何かメッセージを伝えよう」という押しつけを感じさせない、観て感情に強く訴求するかどうかは観るもののそれまでの人生における「死」との接し方次第、という性質の作品であったと思います。

主人公の生き別れの父親(峰岸徹のカメオ出演には驚きましたが)を軸にした主人公自身の「人生再発見」の物語が軸として起承転結を為してはいますが、その流れは2時間少々の作品として「まとめる」ために持ち込まれたものにすぎず、この映画の主役は様々な「死」とその背後にある「人生」を集約する「葬祭」、そしてそこで肉体が(火葬により)消滅する前に死者の「生ある時」をほんの一瞬だけ再現してみせ、残された者にとり「死」を少しでも許容しやすいものにする「納棺士」という仕事の意義なのだと思います。

「死」を扱った作品としては普遍性のあるもので、それこそこの映画をアメリカで中西部の田舎町あたりの葬儀屋を舞台にリメイク(あるドラマシリーズとの類似性はさておき)することは可能なのかな、と思いましたが、死体に科学的防腐措置を施して土葬する文化で「生前の姿を再現する」という「業者」としての仕事と、「すぐに棺桶に入れてしまう」し「燃やして骨になってしまう」のに敢えて遺族の前で死者の姿を整える「儀式の執行者」としての納棺士、というのではだいぶ意味が違ってくるので、たとえリメイクされたとしても換骨奪胎されたものになってしまうでしょう。また、繰り返し描写される納棺作業における、宗教的な「儀式」ではない「手順」へのこだわりはかなり「日本的」(という言葉を自分がどれほど理解して使っているか、はさておき)なものだと思います。

そういう観点からすれば、主人公がチェロ奏者であった、という設定は音楽を効果的に使う、という点では意味がありましたが、別に「銀行員崩れ」「元システムエンジニア」等でも成立した話だと思います。

出演陣も「抑制した」「淡々とした」アプローチでの演技で統一されていて、良い配役・演出であったと思います。山崎努の、言葉少なめで微妙な表情の変化とボディーランゲージ(というか「オーラ」ですかね)が場をさらってしまうのには感心しました。モッくんはちと棒読み系の台詞回しでしたが、実はこれはこれでこういう主人公ならこういう起伏の少ない反応もあるのかな、というので良しとします。広末涼子だけがなんだか浮いていたような印象を受けましたが、これは単に彼女が私の渡米以降に出て来た人なのでなじみがない、というだけの理由かもしれません。

アカデミー賞がどうのこうの、というのは全く切り離して言えば、細かな文句はあっても、納得感を持ちつつ、それこそ自分がこれまで体験してきた「死による別離」(幸い数は少ないですが)を思い起こしつつ、作品世界に感情移入して観ることができたので良い作品であったと思います。

【追記】 本作品とは無関係ですが、先日ミッキー=ローク主演の「レスラー」を観たのですが(ミッキー=ローク、老けて汚くなって瓶貯蔵の泡盛のような、ようやっと良い味になった、という感じです)、その直後に三沢社長の訃報を聞きました。特にファンであったわけでもないですが、この映画とも妙にかぶる部分があり、リングの上で死ねたのは悲しいながらも「美しい逝き方」だったのかもしれません。

June 02, 2009

Stuff Triggered by "Up"

しょうもない話です。

昨日「風船を家にくくりつけて飛んで行く」という設定を元にした映画「Up」について書きましたが、そういや現実でも同じようなことをやった人がいたなあ、とふと思い出しました。

まずは連想された方もかなりおられたのではないかと思いますが、いわゆる「風船おじさん」。ちゃんとウィキペディアの記事(日本語のみ、但しこちらに言及あり)になっていますが、当時ニュースで見るなどしていてそれなりに事件のことを知っているつもりでしたが、この記事を読んでこの人の本職がピアノの調律師だったこと、「試験飛行」のはずがいきなり本番の太平洋横断になってしまったこと、等の事項を知りました。なんとなく「風船爆弾」も連想してしまいましたが。

ただ、驚いたのはなんとこの人物をもとにして蟹江敬三の一人芝居が作られた、という事実です。ひょっとして、と思いYoutubeなど検索してみましたが、さすがに見つかりませんでした。こんな記事はあったのでなんとなく様子はうかがい知ることができましたが…。

日本が「風船おじさん」とどことなくメルヘンっぽい人物なのに対し、アメリカには"Lawn Chair Larry"(庭椅子のラリーさん)というもうちょっと即物的なニックネームの人物がいます。こちらはアメリカ以外ではあまり知られていないとは思いますが、ある日ふと思い立ってアメリカの家には良くある庭椅子に風船を大量に取り付け、ビールを持って(!)庭の上空にちょっと浮かんでみようか、としゃれ込んでみたのは良いものの、浮力を過小評価していて4,600メートルと思ったより高く上ってしまってパニックに陥り、最後は電線に風船が絡んで停電まで起こした、という事件を起こした人物です。行方不明になってしまった風船おじさんとは違い、こちらは無事生還して警察に捕まりましたが。

1982年の話なので、風船おじさんのちょうど10年前、になりますが、パブリシティ狙いの「風船おじさん」に対し、このラリーさんの行動はもっと単純な「空を飛ぶこと」へのあこがれに根ざしていたようです。最も、ラリーさん、結果的に一時有名になってテレビ出演を果たし、その後しばらく講演活動を行うなどしたそうですが、特に金銭的成功には結びつかず最後は自ら命を絶ってしまったのですが…。

ちなみに、ラリーさんに関するWikipediaの記事には、しっかりと:

  • A similar story is to be portrayed in Pixar Animation Studios' Up, about a man who lifts his house into the air using helium balloons.

と書かれていました。風船つけるとこまでは一緒ではあるものの、決して「似た話(similar story)」ではないと思いますが…

June 01, 2009

Up

このPixar+Disneyの新作、邦題は「カールじいさんの空飛ぶ家」だそうですが、このタイトルだと、何だか昔の魔法使い系の絵本のようなイメージが浮かんでしまい、良くない意味で「メルヘンチック」な映画だと思われてしまいそうなのが残念です。この邦題に縛られることなく、大人にも子供にもそれぞれ感じ入るところは違えど楽しめ、かつ心温まる作品だと思いますので、ぜひご一見を。

もっとも、私は最初宣伝を見て「何だかメタボな子供が出ているなあ」というのが気になっているうちに観に行きたくなった、という不純(?)な動機で観に行ったのであまり偉そうなことは言えませんが…。

本作を見て頂ければご理解頂けるとは思いますが、「Up(上へ)」という原題には「旅立ち」、「解放」、「成長」といったニュアンスが込められていると思います。ネタバレにならぬようにいささか抽象的に申し上げれば、この映画は主要登場人物のそれぞれが自分を取り巻いてるもの、縛り付けられているもの、から解き放たれる物語なので、シンプルでありながら実にうまいタイトルだなあ、と見終わって思いました。

ディズニー精神がどうのこうの、というと昨今少々微妙な領域に足を踏み入れてしまいそうですが、私がこの映画をFacebook上でほめたことにコメントしてきた友人の言葉を引用させて頂きますと(Thanks Ray!):

He said that they (Pixar) lived by Walt Disney's motto that for every laugh there should be a tear.  It's certainly true that no other studio brings the human factor to their animated movies more than pixar.  Can't wait to see Up! 

(ピクサーは、ウォルトディズニーのモットーである「笑いには必ず涙が伴わなければならない」を守って作品を作っている。ピクサー以上に、アニメーション映画で「人間」を描いているスタジオは無い。早く「Up」が見たい!)


先日も「特撮・CGはもはや映画の差別化要因にはならない」と書きましたが、ピクサーのCG技術がどうのこうの、というのはもはや所与のもので、もっと言えばお金と時間さえかければ誰にも真似できるものですが、ピクサーをピクサーたらしめているのはそうした技術を「まず『いいお話、考えたお話』があって、それを最大限に生かす実写ではない「デフォルメ」した世界を実現するためのツールとしている」姿勢なのだと思います。さらに言えば、その「デフォルメ」がきちんと現実味のある人間描写の「延長線上」にあるからこそ、上にも書いたように感じいるところのある映画になったのでしょう。

特に「インクレディブルズ」やこの「Up」はその気になれば実写映画として、人間の役者を使っても作れた話だとは思いますが、こうしたピクサー的姿勢により、CGアニメーションのショーケースではない「敢えてアニメで作ってこそ」とでも言うべき生き生きとした作品になったのだなあ、と思います。

ちなみに、冒頭で書いた「メタボな子供(アジア系、という設定、声をあてているのは日系アメリカ人の子役)」はアニメーターの韓国系アメリカ人Peter Sohn氏がモデルになっているそうです。こちらに写真があります(中央)。ピクサー作品では制作スタッフが声を当てることも良くあるのですが、こういう「スタッフ参加型」なのも社風でしょうか。ピクサーの声優はこうした「スタッフ」ばかりではなく、それほど知名度は高くはないがベテランの演技派俳優を使う傾向がありますが、よそのアニメスタジオが有名俳優を声に使ったりするのとは好対照です。

ぜひご覧頂ければ、と思います。

May 10, 2009

Star Trek Begins

今週末公開されたばかりのStar Trek、久々に公開直後に映画を鑑賞しました。

これはもう解説する必要もないと思いますが、1966年のテレビシリーズから始まり、以来40年以上にわたって新旧のファン層、というよりは「信者」のような人々を新作の映画や同一世界を舞台とした新しいシリーズにより取り込んでいる大フランチャイズの最新作です。

アメリカのヒーローもの、SFものというのにはとかくこういう息の長いばかりでなく、頻繁に新しいコンテンツを同じ作品世界のプラットフォーム上でで製作し、世代を越えたファン層を培っているものが多いです。良い例としてはスーパーマン、バットマンがありますが、この2作品はキャラクターのデビューがそれぞれ1938年、1939年と70年以上前であるにもかかわらず、未だに新作のコミックやテレビシリーズ、映画が製作されている状態です。初期の作品を読んだり見たりした「ファン」がその後クリエイターやプロデューサー、制作スタッフとして作品やキャラクターの基本設定をリスペクトしつつ、「リメイク」にとどまらない、新たな解釈やそれぞれの時代に合わせた要素を盛り込みつつ新しいコンテンツを産み出し、それによりまた作品世界と作品を基盤としたビジネスを広げる新たなネタとファンが産まれる、という拡大再生産の仕組みが出来上がっています。

日本においては漫画、アニメ、テレビ共に新しいものは沢山産み出されますが、こうした継続性のあるキャラクター・作品世界のフランチャイズは希で、「機動戦士ガンダム」が唯一思いつく程度です。

話がそれましたが、今回のこの「スタートレック」はこれまでの同シリーズであった、「TVシリーズの特別番組をお金をさんざんかけて製作した『劇場版』」ではなく、こうした継続・拡大再生産コンテンツにおいてはもはや常套手段と化した観のある「オリジンもの」、皆の知っているストーリー上の時間軸より前の、「どうしてこういうキャラクターと作品が成立したのか」「いろんな作品中の『お約束』の由来は何か」を描く映画です。さしずめ「スタートレック・ビギンズ」ですね。

結論から申し上げれば、この映画は「ビギンズ」ものではありますが「原典忠実主義」には陥っていない、フレッシュなシリーズの「リスタート」とも言える、ある程度このシリーズを見たことのある人には大変楽しめる作品になっています。まったくこのシリーズに縁がなかった人にとっても面白くはあるでしょうが、得られる楽しみと喜びは予備知識のある人にくらべたら激減すると思います。

中心にあるのは若き日のカークとスポックで、この二人がそれぞれコンプレックすを抱えながら成長し、始めは対立しつつも友情を形成していく、という話が根底にはあるのですが、他の主要キャラクターであるマッコイ、スールー、チェコフ、スコッティそしてウーラの各々についてもそれぞれの駆け出し状態を「さもありなん」という感じで描き、そしてこの個性豊かなクルーがどういういきさつでエンタープライズ号に集まったか、カークをリーダーとして活躍する体制がどうして出来上がったかを語っています。

特に「お見事」と思ったのはこうした「オリジンもの」は「説明」に時間を割きすぎてえてして長い上映時間になってしまう傾向があるのですが、見る側にある程度予備知識があることを想定はしている(としか思えません)にせよ、うまく2時間少々にまとめ、「オリジナルストーリー」としての完結性と収束感を見るものに与えてくれた点です。しかも、オリジナルシリーズを面白くしていた様々な要素(アクション、ユーモア、カークをはじめとするキャラクターの「とんち」による一見解決不可能な問題の解決という「頭脳性」)をきちんと取り込んでいます。

もっとも、タイムトラベルとパラドックスそしてオリジナルシリーズのある登場人物をデウス・エクス・マキナっぽく使っている、という問題はあるのですがこういう「ご都合主義」はオリジナルシリーズにもあり、またそれが一種の「味」になっていたところもあるので個人的には不問に付したいと思います(笑)。

映像も、最新の映像技術はもちろん駆使したいますが、もはや「映像」は差別化要因でも何でもない、作品世界を実現するための「ツール」でしかなく、ある意味コモデティになっているので、特に語る必要もないでしょう。「特撮やCGがすごい」という理由だけで映画を見ることはもうありえないわけですし。

むしろこうした作品の場合は、「配役」こそが優劣を決めてしまうのだと思いますが、その点でも実につぼを抑えていたと思います。カーク役のクリス=パイン君は「ボトル・ショック」で演じたキャラと何だかかぶるチンピラっぽさが漂っていましたが、不思議なものでだんだんと「カーク船長」になっていきます。スポック役の人は「ヒーローズ」では有名だそうですが、「若いスポック」としての説得力は十分以上でした。

個人的につぼにはまったのがマッコイ船医役のカール=ウルバン(「ロードオブザリングス」の「二つの塔」と「王の帰還」に出て来たエオメル役の人です)とスコッティ機関長役のサイモン=ペグ(コメディゾンビ映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の主演です)で、前者はオリジナルシリーズのディフォレスト=ケリーが乗り移ったかのような立ち居振る舞い、後者はスコッティのユーモラスな点を増幅した解釈、で与えられた「演じるキャラ」と役者自身の個性を2者2様の形でバランスを取った名演だったと思います。

このマッコイとスコッティ、映画の最後ではオリジナルキャラとして「完成」するのですが、これと比べると主役であるカークとスポックは最後でも「キャラ完成途上」とでもいうべき点にとどまった造形がなされていましたが、それ自体が作品の狙いだと思うので納得です。

最後になりますが、この「スタートレック」、「ファン」であり「リスペクト」を持ちつつも「信者」ではないスタッフが作った「ファンサービス」ではない「ビギンズ」です。J.J. エイブラムズ、さすがです。

但し、続編は作って欲しいような欲しくないような、複雑な気分にはなりましたが…。

May 05, 2009

Spaghetti with Broccoli Rabe, Toasted Garlic and Bread Crumbs

Spaghetti with Broccoli Rabe and Toasted Bread Crumbs with Garlic
ここのところこればかり、の書き出しですが、またもやNY TimesのMark Bittman氏のブログで紹介されていたレシピを試してみました。

Bittman氏(Wikipedia記事)は本職はジャーナリストで、食べ物について書いているうちに料理をマスターしてしまい、それが嵩じてベストセラーの料理本を何冊も書いたり(一番有名なのは"How to Cook Everything”です)、テレビで本職の料理人と競演したり、という人です。NY Timesでは上記の"Bitten”というブログでレシピばかりでなく食や食材、食品産業にまつわる様々な話題を取り上げると共に、The Minimalistという実に読み応えのあるコラムを書き(こういう「読ませてくれる」記事を書けるジャーナリストを擁しているのがNY Timesの強みだと常々思います)、そして動画によるレシピ解説もしています。

このレシピはBroccoli Rabe(別称Rapini)というカブの仲間の葉野菜と自家製のガーリッククルトン(Toasted Garlic with Bread Crumbs)をパスタと和えただけ、というもので、パスタと野菜の配分を1:1ぐらいにすればかなり健康的な食事になる一品です。

作り方は以下の通りです:

  1. 薄切りにしたニンニクを、ひとつまみの赤唐辛子と共にフライパンにひいた室温のオリーブ油に入れ、焦げないように低めの温度でじっくりと揚げるように炒める(写真
  2. ニンニクの良い香りが立ったら、細かくちぎったフランスパン(硬くなってそのままでは食べられない残り物を流用しました)をフライパンに入れ、これも焦げないよう、クルトン状になるまで炒めます(写真
  3. クルトンがいい感じに炒め上がったら、別の器に取りよけておきます(写真
  4. クルトンを調理している間にBroccoli Rabeをさっと塩で茹で(写真)、細かく刻んでおきます(写真
  5. 野菜を茹でたお湯は捨てずに、そのままパスタを茹でます
  6. パスタを茹でている間に、フライパンにオリーブ油を再度ひき、刻んだBroccoli Rabeを入れ、軽く塩コショウで炒めたところにクルトンを入れ、湿っぽくならぬようざっくりと混ぜ合わせておきます
  7. パスタが茹で上がったら、茹で汁をほんの少し取り置いて笊にあけます
  8. 茹でたてのパスタを即野菜とクルトンの入ったフライパンに入れ、混ぜ合わせます(ここで少し茹で汁を入れると混ぜやすくなります)
  9. お皿に盛り、コショウを碾きかけて、少し苦みのあるBroccoli Rabeとカリカリしたクルトンとニンニクの歯触り、アルデンテパスタの食感を楽しみつつ食べます

オリジナルレシピでは最後にパルミジャーノチーズを下ろしかける、とあります。それはくどいかな、と思って割愛したのですが、食感的には素晴らしい(パスタ特有の、作る時間が食べる時間より圧倒的に長い、というのを改めて実感します)ものの、もうちょっとコクが欲しいな、という仕上がりだったので、チーズには十分意義があると思います。

Broccoli Rabeが手に入らない場合は、ブロッコリーニ、または菜の花等の青物でやってみると良いと思います。普通のブロッコリーでもいけるのではないでしょうか。春菊はちと臭気がキツいので避けた方が賢明と思われます。

このパスタには白ワインだな、と思いつつフルーティなシャルドネもソービニョンブランも合わなさそうで、「これは合うだろう」という確信めいたものをもって先日ご紹介したオーストリアのGrüner Veltliner(グリューナーウェルトリーナー)を合わせました。今回はヴァッハウ渓谷(知りませんでしたが世界遺産だったのですね)産の、まさに先日お目にかかったワインメーカーが作ったものを頂きましたが、白コショウめいた刺激のあるグリューナーとこのパスタの相性は抜群でした。少し唐辛子を多めにすればビールとも相性は良いのではないでしょうか。

これはまた作って食べよう、という一品でした。

April 23, 2009

Chicken Roasted with Turnips & Carrots, and Intro to Grüner Veltliner (Austrian White Wine)

Chicken Roasted with Turnips and Carrots
またもやNY Times掲載のMark Bittman氏のレシピに触発されて作りました。深めの鍋で、チキンから出る煮汁と、野菜の水分が混じり合い、野菜に味をつけると共に鶏肉にも野菜の味を移しつつジューシーさを保つ、という仕掛けです。材料さえ下ごしらえしてしまえば後はオーブンの中で煮焼きにするだけ、という時間はかかるが手間はさほどかからない料理です。

  • オーブンにオリーブ油をひいた鉄製の大きな深鍋(いつものロッジ社製のものです)を熱しておく
  • 丸ごとのチキンを洗い、水気を拭き取った後にオリーブ油を塗り、塩コショウをなすりつける
  • お腹の空洞の中にニンニク数カケとハーブ類(生オレガノと乾燥したローズマリーを使いました)を詰める
  • 十分に熱された深鍋に胸肉を上にしてチキンを入れ(写真)、フタをしないでそのまま焼く→チキンが鍋の壁面に接すれば、その部分が香ばしく焼けるので歓迎
  • チキンを焼き始めたらカブ(Turnips)とニンジンの皮をむいて少し大きめに切っておく
  • チキンに少し色がつき始めたら、胸肉の上に切ったベーコンを並べる(写真)→胸肉の乾燥を防ぐのと、ベーコンの香ばしい味を全体につけるためです

Chicken Roasted with Turnips and Carrots

  • ベーコンが焼け、鶏肉に火が回りつつある状態で鍋を一旦オーブンから出します。(上の写真)
  • チキンの周囲にカブとニンジンを、隙間をすべて埋めてしまうように入れ(写真)、オリーブ油を少々かけまわし、今度はフタをして鍋をオーブンに戻す
  • 途中で様子を見て、野菜に火が通っているかを確認し(写真)、時々鍋をゆすって鍋底に溜まった肉野菜汁を全体にかけ回す→熱いので注意
  • 途中で10分程度フタを外して天火で焼くとチキンにいい焼き色がつきます
  • チキンに火が通ったら(温度計を使うと楽)鍋から取り出し(写真)野菜を鍋に残して(写真)フタをせずにさらに10分ほど天火で加熱し、汁を煮詰めるとともに野菜に焼いた風味をつける
  • 野菜にいい焼き色がついたら(写真)チキンの周りに盛りつけ、上から焼き汁をかけまわして出来上がり

Chicken Roasted with Turnips and Carrots
元レシピとの違いは(1)ニンジンを使った(2)チキンにハーブ等を詰めた(3)ベーコンで風味をつけた、の3点です。野菜に鳥の味が染み込んで、ベーコンの香ばしさと相まってついつい野菜を先に食べ尽くしてしまいましたが、鶏肉もハーブの香りと野菜の風味が染み込んでしっとり焼き上っており、実に美味でした。

通常のローストチキンのようにタマネギやセロリを使うと、この作り方の場合はそれらの臭いが強く出過ぎてしまうと思われるので、避けたほうが賢明でしょう。また、鳥自体と野菜から水分が出るのでワイン等を補う必要もありません。

この料理には、先日とあるワイン屋で試飲して以来すっかりはまってしまったオーストリアのGrüner Veltliner(グリューナーヴェルトリーナー)という同国固有のブドウで作った白ワインを合わせました。

そういやオーストリアワインといえばかの昔ジエチレングリコール混入というスキャンダルがあったな、などと思い出しもしましたが、この事件以降、国をあげてワインの品質向上に取り組んだこと、また若手のワインメーカーがこのブドウやリースリングを使い、辛口の、フランスやドイツの高級白ワインに負けない味わいのものを作ろうと努力したこと、などが相まって近年では実に良いワインが産出されているようです。このテイスティングも、そうした若手のワインメーカーが自らオーストリアからやってきてワインを注ぎつつ訛りの強い英語で説明してくれる、というイベントでした。

このグリューナーヴェルトリーナーの味ですが、透明度の高い色合いに、少し刺激のある香りがして、口に含むと辛口というよりは硬質の、酸味と「青いブドウの味」とミネラルっぽい風味です。ハードボイルドな味、とでも言うのでしょうか、このローストチキンのようなそれほど癖の無い、穏やかな味の料理とはとても良い組み合わせでした。

日本酒でいうと、シャルドネを大吟醸とすれば、こちらは純米辛口の生酒、という感じでしょうか。出会ってからこれまでに飲んだ数本はどれもこうした特徴を共有していました。シーフードよりはチキンやポークに合うワインだと思います。

まだ数本しか飲んでおりませんが、ひさびさに「開眼した」気分にさせてくれるワイン、普段飲むローテーション入りさせたくなるようなワインに出会ったような気がします。

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